知財活性化提言~その162:「拙速」よりも「熟慮」を

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「後藤さん、この拒絶理由の対応ですが、
材質を限定するだけでいいんじゃないですか?」

これは、あるお客様が出願した特許について
特許庁から「拒絶理由通知」
(この特許出願は特許できない理由があるという
特許庁からの通知)が来た際に、そのお客様が
私に送ってこられたコメントです。

少し専門的な話になりますが、
特許出願したものがすんなり拒絶もされずに
特許になることは経験上、ほとんどありません。

その理由の一つは、あえて出願時に
権利範囲を広く設定して出願する傾向があるということ、
もう一つは、出願前に公開されていた
技術文献の内容の解釈に
特許庁審査官と出願人とで食い違いがあるということ
が挙げられます。

このことも踏まえ、今回の拒絶理由通知はなぜ、どういう理由で
出されたのかを充分検討してから
対応策を練らなければなりません。

上記の例の場合、複数の引用文献が提示され
それを組み合わせると特許出願と同じ内容になる
というのが拒絶理由の趣旨なのですが、
お客様は引用文献がすべて特許出願と素材が違うため
素材を限定するだけでよいのでは?という
疑問を投げてこられたわけです。

私からは、
「それも一つの選択肢ですが、それ以外に
権利範囲の狭めを最小限にとどめ、反論する方法が
あるかもしれません。
引用文献の内容を精査し、打ち合わせしましょう。
拙速に対応策を決めるべきではありません。」
とお伝えしました。

拒絶理由への対応一つで、
折角出願した特許の権利範囲が狭まりすぎてしまい、
使い物にならなくなることもあり得るからです。

拒絶理由通知からその応答期限までは
通常60日ありますので、検討できる
猶予は十分あります。

拒絶理由に限らず、拙速な判断がかえって
致命傷を招くことは経営でもよくあることでは
ないでしょうか?

もし結論を出すまでに猶予があるのでしたら、
決して急がず、熟慮しましょう。