知財活性化提言~その38:知的財産の要・不要の見極め

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このコラムにて、ここまで知的財産を活用することの重要性を、

様々な観点から説明してきました。

しかし、だからといって「知的財産を取得すること」

ありきではないのも事実です。

その意味では、「取得したが、活用できていない知的財産の処理をどうするか」

ということも経営の中で考えていく必要があります。

なぜなら、活用できていない知的財産は企業のお荷物にしかならないからです。

仮想事例で考えてみましょう。

ある機械加工のメーカーでは、現在数件(ここでは、具体的に6件としましょう)の特許を

保有しています。その内訳は以下の通りです。なお、製薬メーカーなどの場合は、違った考え方をする必要がありますが、

ここでは割愛します。

①実際の製品に採用している特許が3件。
②半年後に投入する予定の製品に採用予定で、取得して2年足らずの特許が1件。
③現在は製品に採用する予定がなく、取得して1年足らずの特許が1件。
④取得して4年以上経過しているが、まだ実施する目途が立っていない特許が1件。

実際にはもっと複雑で、いろんな状況下にある特許が混在していることが多いのですが、

ここでは簡略化して考えてみます。

さて、この会社の社長はどういう基準で特許の要・不要を判断すべきでしょうか?

まず、①は基本的に残すべきですね。

現在実施している特許は、少なくとも現在の製品の売上と利益に貢献していますので、

実施している間は残すというのが基本的な考えです。

次に、②はどうでしょうか?

これも基本的には残すという判断になりますね。現在実施していなくても、

製品に採用することが確実な場合は残すということになります。

では、③はどうでしょうか?この場合は、残すか捨てるかの微妙なボーダーラインになり、

次の特許料支払い時(取得して1年後)にどうするかということになりますが、

②のような場合が将来あり得るのなら、ひとまず残しておくという判断もできるかと思います。

最後に、④はどうでしょうか?この場合、②のような場合があるから、残すという判断をすべきでしょうか?

私は、基本的には捨てるべきであると考えています。その理由として、

私の知財業務経験上、取得から3年以上経過した特許を次期製品に採用した経験がないことに加え、

現在の技術進歩のスピードから考えると、3年以上経過した特許はすでに陳腐化してしまい

次期製品には新しい技術を採用する可能性が高いからです。

特許も「鮮度が命」であり、活用する場合は特許を出願した時点か、

おそくとも取得して3年以内には実施していると考えるのが妥当なのです。

もう一つ、「3年」というのを一つの基準にする理由を説明すると、

特許料は3年ごとに特許庁に納付する年金額が約3倍に増えていきます。

つまり、3年ごとに見直さなければ、加速度的に特許維持に要するコストが上がっていく

仕組みになっているのです。

特許取得から3年後を一つの節目とし、見直す理由がここにあります。

では実際に、あなたの会社ではどうでしょうか?

例えば、未だに製品に採用できていないにもかかわらず、経営者自らが苦労して開発した技術だから、

「残すのがもったいない」「必ず製品として世に出すから、もう少し残しておこう」

といった理由で残したりされてないでしょうか?

このような考え方は禁物です。「不要なコスト」がどんどん増えていくだけになってしまいます。

これを読まれて、「うちは全然見直してないな、やばいかな・・・」と思われた方、

今からでも遅くありませんから、一度自社の特許の状況を見直し、「本当に活用している特許だけ残しているかどうか」

を把握してください。