知財活性化提言~その49:知的財産交渉において超えるべきハードル(2)

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前回に引き続き、今回は
知的財産の交渉における2番目のハードルを
いかにして超えるかについて
書こうと思います。

前回説明した1番目のハードルである、相手の意図を探った上で、
次のステップとして行うのは、技術を含む知的財産の内容に関する交渉です。
特に特許のような技術思想を扱う知的財産の場合は、その技術的範囲、
特許の明細書に記載された内容について、必ずしも一義的な解釈
(つまり、特許を保有している側と、活用をしてもらう側とでその内容や範囲に
ついての考え方が一致する)にはならない場合が多いため、この交渉は一回で終わらないのが通常です。

それも踏まえた上で、慎重な対応が必要ですし、特許のような技術が主の場合は、
専門知識を有する技術部門、或いは知的財産部門が矢面に立つ必要があり、
また最も活躍できる交渉になります。

例えば、前回のA社の事例において、b社の意図とA社の思惑がほぼ一致した
(すなわち、A社はb社に製造ライセンスを与え、b社は自社の遊休設備と保有技術を
活かしてA社製品を製造する)とします。基本線は合意したので、次は具体的な製品の
仕様等の交渉になってきます。

例えば、A社が保有する特許に記載されている構成が、以下の通りであったとします。

「構成要件1と、構成要件2と、構成要件3とからなるボルトナット」
これに対し、b社が製品のコストダウンと生産納期の短縮を行うため、
構成要件2を構成要件2‘に変更したいと考えたとします。つまり、実際の製品仕様を
「構成要件1と、構成要件2‘と、構成要件3とからなるボルトナット」にしたいとします。
このような変更は、製品開発の中では往々にして起きることですが、このとき検討するのは、
「構成要件2を構成要件2‘に変更しても、特許の権利範囲に入っているかどうか?」ということです。
もし、構成要件2‘に変更することで、特許の権利範囲に入らない状態になると、A社はb社に
製造ライセンスを与えることができないのみならず、b社はA社の許諾を得ることなく安いボルトナットを
製造することができるようになり、かえってA社には不利になってしまう状況が発生しかねません。
特に、構成要件2’に相当する実施例が特許の明細書に記載されていない場合は、
本当にその製品は特許を活用していることになるのかの判断を慎重に行わなければなりません。

 

ここは技術担当者(A社の場合は社長と技術部長)の踏ん張りどころです。

粘り強く交渉を進めるようにしてください。